高度慢性期医療における経腸栄養の意義と有用性 (1/2) -

第27回 日本慢性期医療学会 ランチョンセミナー2
- 日 時
- 2019年12月3日(火)
- 会 場
- 大阪国際会議場 12階 会議室1202
- 共 済
- ネスレ日本株式会社
ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー
登壇者
- 座 長
- 富家病院 理事長 富家 隆樹 先生
- 演 者
- 札幌医科大学医学部 集中治療医学 巽 博臣 先生
- 演 者
- 新戸塚病院 総合診療部(外科) 中尾 健太郎 先生
急性期と慢性期、栄養療法に相違点はあるか

- 演 者
- 札幌医科大学医学部 集中治療医学 巽 博臣 先生
「安易に腸管を休ませない」ために栄養療法の早期開始を重視
重症患者の栄養療法で問題とされるのは、①侵襲に伴う腸管蠕動麻痺、②腸管を使わない期間の長期化です。①は嘔吐、誤嚥性肺炎、VAP(人工呼吸関連肺炎)が発生しやすくなり、経腸栄養の開始遅延や中止につながります。②による影響は、腸管蠕動麻痺が遷延することが挙げられます。
こうしたリスクを低減するためには、「安易に腸管を休ませない」ことが重要です。『日本版 重症患者の栄養療法ガイドライン』(日本集中治療医学会)で推奨されているように、早期に経腸栄養を開始することが望ましいと考えています。
また、絶食症例でTPN を施行すると、腸管機能が低下し、消化器症状が出やすいと言われています。そのため、経腸栄養による腸管機能の維持が重要となります。経腸栄養の開始時期について、「絶食から24 ~ 48時間以内の開始」の方が、「48 時間以降の開始」よりも腸管機能の回復が早く、消化器症状が少ないと考えられます(図1)。
