icone

回復期慢性期

高発酵性食物繊維による便性状と便pHの適正化でインフルエンザ発症予防に挑む -

C0415-01

~プレバイオティクスと感染症対策~ from ESPEN2020
ESPEN2020 "The Effect on Preventing Inluenza Infection with Partially Hydrolyzed Guar Gum"より

インフルエンザの発症とPHGG摂取の関係を検証

北海道千歳市にある、一般40床、回復期リハビリテーション(以下、回復期リハ)50床、療養50床からなる北星病院の管理栄養士、高橋千加さんは、便性状の悪い患者が多いことに気づき、以前より水溶性食物繊維のグアーガム分解物(PHGG)を活用し、排便コントロールに取り入れてきた。PHGGは高発酵性を特徴とし、腸内で発酵することで短鎖脂肪酸を産生し腸内細菌を活性化させる働きがあるとされるためだ。その取り組みのなかでPHGG摂取患者にインフルエンザの発症が少ないことに気づき、PHGGの摂取とインフルエンザの発症率および便性状の関係について検証を行った。その結果は第35回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN)で発表された(概要はサマリー参照)。

第35回JSPENの発表サマリー

演題:高齢入院患者に対する水溶性食物繊維グアーガム分解物(PHGG)によるインフルエンザ発症抑制効果の検討

概要:2017年4月〜19年3月までに同院に入院した、経口摂取可能だった患者996名をPHGG摂取群(640名)と非摂取群(356名)に分類し、インフルエンザ発症率と便性状・便pHの関係について、後ろ向き観察研究を行った。その結果、PHGG摂取群においてインフルエンザの発症率が有意に低く(図1)、インフルエンザ発症患者のほうが便性状・便pHが悪かった。さらにPHGG摂取群の便性状・便pHが良好であることも認められた。これらにより、腸内環境が乱れている患者ほどインフルエンザを発症しやすく、PHGGは腸内環境を整えることによりインフルエンザの発症予防に寄与したと考えられた。

図1 インフルエンザ発症率の比較