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回復期慢性期

経腸栄養のリスクマネジメント(1/3) -適正な栄養管理を目指して- -

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第45回日本重症心身障害学会学術集会 ランチョンセミナー3

日 時
2019年9月20日(金)12:10~13:10
会 場
第3会場(岡山コンベンションセンター 2階 展示ホール)
共 済
第45回日本重症心身障害学会学術集会
株式会社フィリップス・ジャパン/
ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンスカンパニー

登壇者

  • 座 長
    倉敷中央病院
    総合周産期母子医療センター 渡部 晋一 先生
  • 演 者
    久留米大学医学部外科学講座小児外科部門教授 久留米大学病院副病院長 医療安全管理部部長 田中 芳明 先生

1. 高齢者の特徴と栄養管理上のリスク

長期入院患者では、年齢を問わず安静に伴い骨格筋が廃用萎縮に陥るなど、栄養学的リスクが存在する。さらに外傷や感染症などの炎症、手術、化学療法などの侵襲が加わると生体内で糖新生が加速し、これに伴いたんぱく質の異化は亢進する。その結果、身体機能の低下に伴う転倒や創傷治癒遅延、嚥下機能、免疫能の低下による誤嚥性肺炎などが惹起される。高齢者はどうしても加齢とともに生理的予備能が低下し、ストレスに対しても脆弱性は亢進する。経腸栄養管理においてもこのようなリスクに留意した管理が必要となる。

たんぱく質の必要投与量

高齢者の推定エネルギー必要量は若年者に比して低下するが、PEM(protein energy malnutrition)防止のためには、十分なエネルギーおよびたんぱく質摂取が重要になってくる。特にたんぱく質の摂取推奨量は、低栄養に伴うたんぱく代謝の低下や、感染症、水分貯留(浮腫)などのリスクが考慮され、若年成人とほぼ同様と考えられる。たんぱく質は、寝たきりであっても0.34g/kg/day程度は生理機能の維持で喪失することが知られている。食事から摂取するたんぱく質は、最低でも0.6g/kg/dayは必要となる。高齢者の場合、実際の食事でたんぱく質の摂取量が0.6g/kg/dayを切ることは少なくない。特に主食の精白米にはたんぱく質量が少ないため、できるだけ副菜からたんぱく質を摂取してもらうよう工夫すべきである(図1)。

図1 たんぱく質(アミノ酸)の投与上の注意点