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回復期慢性期

腸管免疫とプレバイオティクスの最前線 免疫器官としての腸のはたらき (1/3) -

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第35回日本臨床栄養代謝学会学術集会 学術セミナー12

日 時
2020年2月28日(金)
会 場
国立京都国際会館
共 済
ネスレ日本株式会社
ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー

登壇者

  • 演 者
    横浜市立大学 肝胆膵消化器病学教室 主任教授/診療科部長 中島 淳 氏
  • 座 長
    藤田医科大学 医学部 外科・緩和医療学講座 主任教授 東口 髙志 氏

新型コロナウイルス感染の拡大を受けて、集合型開催が中止となった第35回日本臨床栄養代謝学会学術集会。学術セミナー12では、近年注目が高まる免疫器官としての腸のはたらき、さらには食物繊維の可能性について、中島 淳氏より講演いただいたので、その内容を抜粋して紹介する。

腸内細菌叢と短鎖脂肪酸の役割

近年、腸内細菌の研究が飛躍的に進歩してきました。特にその研究は、免疫能の点において顕著となっています。

周知のことですが、腸管には身体の免疫細胞の約半分が存在しています。腸管は口腔から摂取した食物を身体内に吸収する役割を担いますが、その吸収に要する腸管の表面積はおよそテニスコート1面分にもおよびます。腸管はいわば、食物という異物と接する外界と、アミノ酸やブドウ糖などに変換した食物を吸収する身体内とを隔てる境界に位置する臓器といえます。テニスコート1面分にもおよぶ面積が外界と接しているということは、それだけ外界の細菌やウイルスなどの異物侵入のリスクが高い臓器となるため、それらの侵入から身体を守るために免疫細胞がここに集中しているといえるでしょう。

後述しますが、腸管には膨大な数の腸内細菌が棲息しており、それが免疫細胞の働きに大きく影響していることが多々報告されています。この腸内細菌群集を腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼びます。

また、この腸内フローラは加齢とともに変化し、ビフィズス菌などの有用菌の割合は減少し、有害菌の割合が増加します。有用菌の活性化を図る大きな要因は食物、なかでも食物繊維や発酵食品、乳酸菌などが挙げられます。たとえば、物理的バリアとなる粘膜関連細菌叢について、高脂肪食の摂取によって3日間ほどでバリアが破壊されますが、食物繊維や腸内細菌の摂取による食生活の改善でもとに戻ることが近年の論文でも報告されております1)

最近、糖尿病や動脈硬化症、慢性腎臓病、認知症、がんなどの慢性疾患には、慢性炎症がその原因に深くかかわっていることが明らかになっています。慢性炎症とは、がんが代表的ですが、炎症細胞が臓器などの組織に浸潤し、その組織を破壊する病態です。こうした疾患の治療においては薬物療法が中心となりますが、今、食事による慢性炎症の予防医療が注目されています。要は炎症を抑える食事を実践することですが、その実践において食事選択の基準となるものが、食事炎症指数です。