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脳卒中

いまさら聞けない栄養学 -

NutritionalManagement-04

本コンテンツは書籍『脳卒中の栄養療法』(2020年2月発行/羊土社)を基に制作しており、掲載内容は書籍に記載された内容となります。

1 植物性たんぱく質と乳清たんぱく質は何が違う?( 宮澤 靖 )

植物性たんぱく質とは,大豆や小麦を原料として,それに含まれる「たんぱく質」を抽出し,食品の素材として使われるものを指す.現在製品として大豆系は粉末・粒状・繊維状,小麦系は粉末・粒状・ペースト状がある.栄養価強化として,菓子類,育児粉乳などに使われたり,脂肪分離防止(乳化・抱脂性)や結着・離水防止(結着・保水性)のために肉類加工品に使用されている.

一方,乳清たんぱく質または,ホエイプロテイン(whey protein)は,乳清から単離される球状たんぱく質の混合物である.乳清たんぱく質はサプリメントとして流通している.乳清たんぱく質は,牛乳アレルギーの原因にもなることがあるが,牛乳の主要なアレルゲンはカゼインである.乳清には,たんぱく質合成を促進する,分岐アミノ酸が豊富に含まれている.特にロイシンは,たんぱく質合成の転写を開始するうえで重要な役割を果たし,ロイシンが大量に摂取されると,たんぱく質合成が促進され,回復速度が上がったり,運動ストレスに適応できるようになったりする.

脳卒中症例では経腸栄養剤の原料として両者が使用されているが,近年では,カゼインを除去し,アレルゲン反応を抑制した乳清たんぱく質をさらに分解したペプチド(アミノ酸が2~3分子結合)を使用する製品が吸収率の効率化もあり臨床で効果が上がってきている.

図:アミノ酸とジペプチドの吸収速度の違い