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アイソカルクリア リフレッシュ開発者インタビュー -

アイソカルクリア リフレッシュ開発者インタビュー

さわやかな甘さとすっきりとした口当たりでたんぱく質とエネルギーを手軽に摂取できる「アイソカル® クリア」。2023年11月に新たな製品「アイソカル® クリア リフレッシュ」(すっきりジンジャー風味)が新発売となりました。食が進まないとき、少しピリ辛の味を好む方に、ジンジャーエキスのチカラで飲んだ後にもすっきりしたい方にお勧めしたい新製品です。今回は「アイソカル® クリア リフレッシュ」の開発にかかわった社員2名から開発の意図や工夫した点などについてお伺いしました。

飲んだ後にもすっきりを感じられる栄養補助食品を創りたい

「アイソカル® クリア」にはピーチ味とレモンティー味があります。さらに新しい製品としてジンジャーエキスを含む原材料を加えようと思ったのはなぜですか?

社内で3つ目の製品を出したらどうかという話があったのですが、私はただ味を増やすだけではお客様のニーズに応えきれないと思っていました。「アイソカル® クリア」は「スッキリしていて飲みやすい」との評価をいただいていますが、飲んだ後にもすっきりを感じて欲しいと考えました。そこですっきりを感じられるジンジャーエキスを入れるという発想に至りました。

「飲んだ後のすっきり感」からショウガに着目した理由は?

ショウガの成分やテイストで「すっきりする」ことはジンジャーエールやハーブティなどで何となく知っていました。弊社には日本の食品メーカー初のメディカルアフェアーズ(学術)部門がありますので、論文検索や解釈などのアドバイスを受けながら検討を重ねたところ、ジンジャーエキスを入れることで飲んだ後にすっきりを感じられるのではないかと思ったのです。

それを上司や会社に提案するわけですよね。そのときはどんな反応でしたか?

「飲んだ後にすっきりを感じられる栄養補助食品」というコンセプトは受け入れられましたが、ショウガの入った食べ物や飲み物に対して、女性は反応が割と良かったのですが、男性はあまりピンと来なかったようです。「辛くて売れないのではないか」という意見もありました。そこで、ジンジャーの特徴を備えたうえで辛くない「アイソカル® クリア」を作ってみせることにしました。

たんぱく質をクリアに溶かすのは難しい

その開発に携わったのが山本さんですね。もともとショウガですっきりすることは
ご存知でしたか?

私は薬学部出身なので、授業でショウガの成分としてショウガオールがあると習った記憶がありました。今回、初めて論文も見ましたが、論文だけではあまりピンと来なかったです。でも、伊藤さんが実際の現場から話を聞いてきてくれて、確かに「スッキリするんだよね」という声があることを知って、これは現場の役に立つだろうという実感が湧いてきました。

現場の声が開発者をやる気にさせたのですね。山本さんはこれまで「アイソカル® クリア」の開発に携わっていたのですか?

私自身は開発担当者ではありませんでしたが、ピーチ味を開発したのは先輩で、レモンティー味は同期なので、製造のプロセスを横で見ていました。アイソカル クリアは200ml中たんぱく質を10gも溶かしているのに、透明なクリア感を保っていることが特徴であり、特に食欲がない時がある方や濃厚なテイストを好まない方に喜んでいただいている製品であると理解していました。

200mlにたんぱく質を10g溶かすって大変なんですか?

炭水化物を増やすのは簡単なのですが、たんぱく質は不安定で変性するので、きちんと条件を整えてコントロールしないと濁ってしまいます。クリアさを保ちながら、泡立ちを抑えて透明に溶かすのは大変ですし、そこにエネルギーを200kcalも入れないといけないので、苦労して開発していました。

ただでさえコントロールが難しいところにジンジャーエキスを入れるとなったら、
さらに難易度が上がりますか?

そうなんです。今回はジンジャーエキスを入れるということで、厳しい自主基準に合わせる必要があり難しいということを最初に伊藤さんにお伝えしました。ジンジャーエキスを入れたことによりたんぱく質が変性して白濁する可能性もありますし、普通の生姜汁には色が付いていて濁っていますから、透明なジンジャーエキスという原料を調達する必要があります。いかにクリアさ、透明感を保つかという勝負でした。

ジンジャーという農産物加工品を入れるハードル

透明なジンジャーエキスは、どうやって調達したのですか?

原料調達にあたって難しい点が2つありました。1つ目は、透明感を保ったジンジャーエキスという原料は世の中にほとんどないこと。2つ目はネスレの厳格な購買ルールを満たす会社からしか買えないという点です。世界中のネスレは、しっかりした製造プロセスで作られた厳しいネスレの自主基準を満たした原料でないと購買しないと決めています。だからこそ、我々は自信を持って「きちんとした原料からつくられた製品を売っています」と言えるのです。しかし、農産物を加工していてネスレの要求レベルを満たしている工場は非常に少ないのです。

それ、もう無理じゃないですか…?

まずは普段からお付き合いのある原料メーカーにお声かけをして、条件に合致する会社をご紹介くださるようにお願いしたのですが、ほとんどの会社が「無いです」という回答でした。ですが、たった1社だけ見つけることができました。実はもともと弊社と別件でお付き合いがあったのですが、農産物を抽出する事業をしていたことを存じ上げませんで。意外なところから協力者が現れたといった感じでした。

ジンジャーエキスによる辛さを緩和するには?

他にもクリアすべき課題はあったのですか?

ジンジャーエキスを入れると辛みが出ます。なるべく量を多く入れながらも辛さを緩和する方法はないか、模索するのに時間がかかりました。ショウガの特性が期待できるような量を入れたいけれども、たくさん入れると辛くなるというトレードオフの関係になっているので、ちょうど良い量を見つけるのが難しかったです。

辛さを緩和する方法ってどんなものがあるんですか?

ネガティブな味を抑えるためのマスキングフレーバーというのがありまして、一般的に流通しているものを試してみたのですが、ジンジャーの香りが落ち、辛みが目立って最悪でした。次に、甘さでカバーできるかと思い甘味料を入れてみましたが、甘さで辛みは打ち消せず、ただ甘くなっただけでした。

そこをクリアしたのが、ある栄養士さんからのアドバイスでした。ショウガやアロマに詳しい方なので相談したら「レモンフレーバーで消せるのではないか」という示唆をいただきました。実際に試してみたらトップに来る辛さが消えたんです。

その話を聞いたとき、そんなことあるんだと感心しました。実際に辛みが軽減できたので、まさに現場の知恵に助けられて完成できました。

ここでも現場の声が助けになったのですね。あとはベストなジンジャーエキスの量を決めるだけですね。

それが、ベストな量というのが人それぞれ違っていて決めきれなかったのです。もともと開発担当者は社内で厳しい味覚テストを毎年受けているので、通常なら1~2人でテイスティングすれば、世間の味覚に合うかどうか判定できます。しかし今回は、開発担当者たちの間でも意見が分かれたので困りました。流動食だけでなく、コーヒーやチョコレートの開発チームにも意見を聞いてみたのですが、より厳しい判定が出てしまって。暗礁に乗り上げるというか、生産本部の中だと何が正解なのかよく分からないという状況に陥りました。

そこで、普段の製品開発では行わないことなのですが、社内のパネリスト調査を行いました。コーヒーやチョコレートを担当している男女30名の社員を対象に、ジンジャーエキスの特性を得られると考えられる最小用量と最大用量の2種類を試飲していただきました。その結果、最小用量であれば93%の人が許容範囲だということだったので、それを採用しました。最大用量は70%の方が飲めないと判断しました。

「ピリ辛(だけど美味しい)栄養補助食品」というチャレンジ

その完成品を上司や社長にも飲んでもらうことになるわけですよね。
辛くて売れないのではと懸念されていたそうですが…

社長からは「辛さは感じるけど美味しい。珍しくて、新しいね」というお墨付きをいただき、許可が下りました。

良かったですね!栄養補給をしながらすっきりを感じられるリフレッシュ飲料なんて、
注目されるのではないでしょうか。

今回「すっきりしないときでも飲みやすい」というイメージを製品名から伝えたいと思いました。そこで、普段はあまりやらないことなのですが、製品名の消費者アンケートを行いました。製品名を複数並べて「どれが最もスッキリしそうだと思いますか?」と聞いてみました。そうして決まったのが「アイソカル® クリア リフレッシュ」です。

最後に、それぞれ読者へのメッセージをいただけますでしょうか。

今回はジンジャーエキスを入れながら、これまでのブランドイメージである透明感・クリアさ・スッキリした味を保つことができて良かったと思います。実は私の家族もなかなか食が進まず、水分補給すら辛かった姿を目の当たりにしました。「アイソカル® クリア リフレッシュ」がそういったお悩みの解決の一助となればいいなと思っています。

栄養補給が必要だけれどすっきりしなくて食事や濃厚な飲料は気分が進まない・・・そんなときに、リフレッシュも兼ねて活用いただければと思います。

これまでにピリ辛な栄養補助食品はなかったと思うので、甘い味が苦手な方にも新たなテイストとしてお楽しみいただきたいです。大人のテイストの食品というのは栄養補助食品の業界としてもチャレンジになると思いますが、私たちは喜んでくださる方がきっといると期待しています。

私たちは普段は完成品しか見ませんが、水面下の開発のお話を聞くと、とても興味が湧きます。提供する方にお伝えしたら喜んでもらえそうだと思います。貴重なお話をいただき、ありがとうございました!