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制吐療法を正しく用いるためのポイント -

制吐療法を正しく用いるためのポイント

悪心・嘔吐は、がん薬物療法に伴う副作用の中でも、患者さんのQOLを大きく低下させる要因となっています。悪心・嘔吐があることは、QOLだけでなく治療を完遂できるかどうかにも影響を及ぼし、最終的には治療そのものの成功にも関わります。
そのため、適切な制吐剤を用いた制吐療法を行い、悪心・嘔吐をできるだけ抑制することは、がん治療を行う上で非常に重要な要素の一つです。
本コンテンツでは、がん薬物療法による悪心・嘔吐に対する制吐療法、使用される薬剤や患者さんケアのポイントについて解説します。

監修者からのメッセージ

独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 乳腺外科 臨床研究推進部長 青儀 健二郎先生
がん薬物療法を受ける患者さんが経験する副作用の中でも、悪心・嘔吐は特に頻度が高く、また辛いものです。悪心・嘔吐は患者さんが日常生活を送るうえで大きな障害となるだけでなく、コンプライアンスの低下や食欲不振による栄養不良、ひいては全身状態の悪化、治療の中断を招く可能性もあります。
そのため、適切な制吐療法によって悪心・嘔吐の発現をできるだけ予防し、症状を抑えることが重要です。そのためには、制吐療法で用いられる制吐剤の種類や使い分け、また患者さんの症状を緩和できるケアについて覚えておかれるとよいでしょう。
このコンテンツでは、制吐療法の基本的な知識について解説します。

目次

制吐剤とは

制吐剤(せいとざい)は、主にがん薬物療法に伴う悪心・嘔吐を抑制するためのお薬です。がん薬物療法以外に、放射線療法による悪心・嘔吐の抑制にも使用されます。 がん薬物療法に伴う悪心・嘔吐は、1950年代にはすでに問題となっていました1)。しかし当時は効果的な治療法はなく、抗がん薬の種類によっては患者さんの50~100%に悪心・嘔吐が発現していたという報告があります2)。その後、悪心・嘔吐の症状発現に関わる5-HT3受容体を阻害するお薬が開発され、がん薬物療法による悪心・嘔吐の治療薬として使われるようになりました。 現在では、悪心・嘔吐の発生に関わる受容体に応じて、複数の制吐剤が用いられています。これらの薬を、投与されている抗がん薬の催吐性リスクや、過去のがん薬物療法による悪心・嘔吐の発現状況、個々の患者さんの状態などを考慮して、適切に組み合わせて使用します。

制吐薬適正使用ガイドラインとは

日本癌治療学会が作成する「制吐薬適正使用ガイドライン」は、がん薬物療法によって出現する悪心・嘔吐に対する制吐療法のガイドラインです。その目的は、がん薬物療法に伴う悪心・嘔吐を適切に評価および制御し、治療効果を上げ、最終的には患者さんの予後改善を図ること、とされています3)
本ガイドラインには抗がん薬の催吐性リスクに合わせた治療アルゴリズムや、臨床的に重要なクリニカルクエスチョンに基づく推奨事項がまとめられており、がん薬物療法および放射線療法を実施する医療従事者のほか、がん薬物療法を受けるがん患者さんやそのご家族にも参照していただけるような内容となっています。

制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版について

もともと、日本での制吐療法はNCCNやASCOなど海外の学会によるガイドラインに準じて行われてきました。しかし制吐薬の承認状況や種類、投与量、エビデンスレベルなどが国内と海外では異なることから、日本独自のガイドラインの必要性が高まり、日本癌治療学会による「制吐薬適正使用ガイドライン」の誕生に至りました4)
第1版は2010年5月に発刊され、最新は2023年10月に改訂された第3版となります。第3版では、作成過程の透明性、公平性、独立性を十分に担保したガイドラインを目指すため、改訂ワーキンググループとシステマティックレビューチームの2チーム体制での作成が行われました3)
また非薬物療法や医療経済的な観点に触れたり、改訂作業に患者委員を含めたりなど、第2版までとは異なる方針での編集が行われています。

表:制吐薬適正使用ガイドライン 第2版と第3版の主な違い

日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版, 金原出版, 2023年.、
日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2015年10月第2版, 金原出版, 2015年.より作表
第2版まで 第3版
がん診療ガイドライン委員会内のワーキンググループにおいて作成 改訂ワーキンググループとシステマティックレビューチームの2チーム体制での作成
がん診療ガイドライン委員会内の評価委員会にて評価 草案段階で各種の外部評価
医療従事者のみが改訂に従事 患者団体も改訂に従事
非薬物療法、医療経済的評価について言及なし 非薬物療法、医療経済的評価について言及あり
クリニカルクエスチョンのみ クリニカルクエスチョンに加え、BQ(Background Question)、FQ(Future Research Question)を新設

悪心・嘔吐の定義と分類

制吐薬適正使用ガイドラインによれば、「悪心」は“嘔吐しそうな不快な感じ”、「嘔吐」は“胃内容の強制排出運動”と定義されています3)。嘔吐と似たものに「空嘔吐」がありますが、これは“胃内容は排出されないが、強制的に排出しようとする運動”として区別されています。
悪心・嘔吐は、その発現時期や状態より、「急性期悪心・嘔吐」(抗がん薬投与開始から24時間以内に出現)、「遅発期悪心・嘔吐」(抗がん薬投与開始24時間後から120時間(5日目)程度持続)、「突出性悪心・嘔吐」(制吐薬の予防的投与にもかかわらず発現)、「予期性悪心・嘔吐」(抗がん薬のことを考えるだけで誘発される)のように分類されます3)。制吐療法を行う際は、これらの分類に応じた適切な薬剤を使用することが重要です。

悪心・嘔吐は、延髄の嘔吐中枢が様々な刺激により興奮することで引き起こされます。嘔吐中枢に対する刺激となる要因には以下のようなものがあり、要因の種類によって中枢性嘔吐と末梢性嘔吐に分類されます5)

図:悪心・嘔吐のメカニズム

日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月第3版, 金原出版, 2023年、
浅野拓:レジデント 2010;3:110-1.参考に作図

<中枢性嘔吐>6)

  • 大脳皮質からの刺激(痛みや臭いなどの感覚、恐怖や不安などの感情など)
  • CTZ(化学受容器引金帯)からの刺激(血中の抗がん剤などの薬物や化学物質、代謝疾患による異常代謝産物など)
  • 頭蓋内圧亢進による中枢の圧迫

<末梢性嘔吐>6)

  • 消化器等の内臓の病気
  • 前庭器からの刺激(乗り物酔い、回転運動など)

これらの刺激の伝達には、5-HT3受容体、NK1受容体、D2受容体などが関与しています3)
制吐剤は、それぞれの受容体に作用することで悪心・嘔吐を抑制します。

抗がん薬の催吐性リスク

がん薬物療法で用いられる抗がん薬の催吐性はそれぞれ異なり、どの抗がん薬が使用されるかで、悪心・嘔吐のあらわれやすさは異なります。
制吐薬適正使用ガイドラインでは、海外のガイドラインにならい、「制吐薬の予防的投与がない状態で、抗がん薬を投与してから24時間以内に嘔吐が発現する割合」によって、抗がん剤の催吐性リスクを定義しています。「高度催吐性リスク」(悪心・嘔吐が、90%を超える患者に発現)、「中等度催吐性リスク」(30%~90%の患者に発現)、「軽度催吐性リスク」(10%~30%の患者に発現)、「最小度催吐性リスク」(10%未満の患者に発現)。
制吐療法を行う際には、これらの催吐性リスクのほかに、制吐薬による副作用、制吐薬の投与経路、薬剤費など様々な要因を考慮します3)

がん薬物療法における制吐療法

がん薬物療法に伴う悪心・嘔吐は、投与される抗がん薬の催吐性リスクにより、発現する割合や時期は異なります。しかしどのような催吐性リスクのがん薬物療法でも、推奨されるのは制吐薬を用いた薬物療法です。制吐薬適正使用ガイドラインでは、抗がん薬の催吐性リスクに応じた治療アルゴリズムが紹介されています。
一方、悪心・嘔吐に対しては、漢方やショウガなどの生薬、鍼灸・指圧、ヨガ、アロマといった非薬物療法の研究も数多く行われています。改訂第3版の制吐薬適正使用ガイドラインでは、非薬物療法についてもシステマティックレビューが行われ、クリニカルクエスチョンとして取り上げられています。

薬物療法

制吐薬適正使用ガイドラインでは、「抗がん薬の催吐性リスクに応じた適切な制吐療法を選択し、過不足ない適切な発現予防を目指す」ことが制吐療法の基本である、と述べられています3)
悪心・嘔吐があらわれるとされている期間は抗がん薬の投与開始日から5~7日間、またさらに長期にわたる場合もあるとされています3)。悪心・嘔吐のリスクがある期間は、最善の予防を図るようにしましょう。
制吐薬は、抗がん薬の催吐性リスクに加え、これまでのがん薬物療法での悪心・嘔吐の発現状況、患者さん自身のリスク因子や社会状況も考慮して選択します。リスク因子としては、年齢が若いこと、女性であること、飲酒習慣がないこと、乗り物酔いの経験があること、妊娠時の悪阻の経験があることなどが報告されています3)
また忘れてはならないのは、制吐薬にはそれ自体の副作用があるということです。制吐療法によって患者さんがさらに苦しむことのないように、制吐薬の主な副作用はしっかり理解しておきましょう。制吐薬の種類ごとの副作用については、「制吐薬の種類と使い分け」で解説しています。

非薬物療法

一般に、がん患者さんの消化器症状に対して行われる非薬物療法としては、マッサージや指圧、生薬や漢方薬、ヨガ、アロマ、音楽によるリラクゼーション、心理教育などが挙げられますが、担当スタッフ、設備の点で制限があるため、一部の施設で実施されるにとどまっています。
制吐薬適正使用ガイドラインでは、さまざまな非薬物療法を対象としたシステマティックレビューによって悪心・嘔吐の抑制効果を検討しており、そこで有意な効果が認められたのは、鍼療法、運動療法、アロマ療法であったと報告されています。

表:制吐薬適正使用ガイドラインで評価された非薬物療法

日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版, 金原出版, 2023年.より作表
鍼療法 実際に鍼を体に刺す方法、刺した鍼に電気を流す方法、レーザーによる刺激を用いる方法があります。これらは嘔吐に対する効果は認められないものの、悪心に対しては有効である可能性が示唆されました。
経皮的電気刺激療法 複数のランダム化臨床試験で悪心・嘔吐に対する効果の検討が行われていますが、その結果は一致せず、悪心・嘔吐に対する有意な抑制効果は示されませんでした。
指圧療法 複数のランダム化臨床試験で悪心・嘔吐に対する効果の検討が行われていますが、悪心・嘔吐に対する指圧の有効性を認められませんでした。
運動療法 複数のランダム化臨床試験が行われ、一部では悪心・嘔吐に対する有効性が認められていますが、解析計画上の問題などエビデンスとしては非常に弱いものでした。
漸進的弛緩療法 体のいろいろな部分を緊張させたり緩めたりすることで、心身の緊張を和らげる方法です。複数のランダム化臨床試験が行われていますが、いずれもエビデンスとしては非常に弱く、有効性を認めるには至っていません。
ヨガ 2編のランダム化臨床試験が行われていますが、ヨガによる悪心・嘔吐の抑制効果は認められませんでした。
ショウガエッセンシャルオイルを用いたアロマ療法 ショウガのエッセンシャルオイルを用いたランダム化臨床試験が3編実施されていますが、嘔吐の抑制効果は示されず、悪心については1編で抑制効果が示されました。しかしいずれもエビデンスとしては非常に弱いものでした。
食事療法 ここでの食事療法は、少ない量の食事を何回にも分けて食べる、冷たくして食べる、食前・食後に口をゆすぐ、食後の姿勢に気を付けるなど、悪心・嘔吐の抑制に特化したものを指します。ランダム化臨床試験が3編実施されていますが、嘔吐抑制では有意差は示されず、悪心抑制では検定がされていないため評価ができませんでした。
音楽療法 ランダム化臨床試験が4編実施されており、いずれも音楽を聴くことでリラクゼーションを図るものでした。嘔吐及び悪心の抑制効果は示されませんでした。
その他 呼吸法、患者教育、オステオパシー療法、リフレクソロジー療法、マッサージなどがありますが、いずれもエビデンスの強さに問題があり、評価は困難でした。

現時点では、悪心・嘔吐に対する非薬物療法のエビデンスは不十分であり、手間や費用を考慮すると、その実施は「非薬物療法を併施しないことを弱く推奨する」という記載にとどまっています。ただしアロマ療法については、患者さんの価値観や好み、ライフスタイル、コスト、ベネフィットとリスクのバランスを考慮して、慎重に検討する余地がある、と記載されています。
ガイドラインのシステマティックレビューに組み入れられたアロマ療法の試験は、いずれもショウガエッセンシャルオイルを用いて、対照群との比較で悪心・嘔吐抑制効果を検討していました。ショウガには悪心・嘔吐の発現機序に関わる複数の経路に作用することが知られており、その制吐効果について多くの研究が行われています7)。そのため制吐薬適正使用ガイドラインでも、ショウガを含む漢方などによる研究はエビデンスの量と質を考慮して、今回のシステマティックレビューに含められず、今後の検討課題であるとされています。

その他(生活や環境の改善)

悪心・嘔吐については、薬物療法だけでなく、生活や環境の工夫をすることも有効である場合があります。
ゆったりとした服装や楽な姿勢をとること、強いにおいを避けること、うがいで口の中をさっぱりさせる口腔ケアなどがよく行われます8)。また一般に、胃に食べ物が留まる時間が長いと症状があらわれやすくなるため、うどんやお粥など消化の良いものを、少しずつ小分けにして食べるとよいでしょう。他に冷たいものやのどごしのよいもの、柔らかいものが好まれるようです9)
がん薬物療法は長期にわたることが多いため、こういった生活上の工夫を、患者さん自身がセルフケアとして実施できるように、医療従事者が適切にフォローを行うことも重要です。

制吐薬の種類と使い分け

制吐薬は、作用機序によって異なる種類に分けられます。またそのほかに、経口薬または注射薬といった投与経路による分類もあります。
投与経路による効果の違いはないため、患者さんの状況や希望、施設の運用状況、抗がん薬の投与経路や投与スケジュールなどを考慮して、適切な投与経路、適切な薬剤を選択します。
ここでは、各種制吐薬の特徴や副作用を、作用機序ごとに紹介します。

国内で承認されている制吐剤の一覧

※各薬剤について詳しくは、それぞれの電子添文をご参照ください。

日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版, 金原出版, 2023年.より作表
種類 副腎皮質ステロイド 5-HT3受容体拮抗薬 NK1受容体拮抗薬 D2受容体拮抗薬 多元受容体標的化抗精神病薬
消化管運動改善薬 フェノチアジン系抗精神病薬
薬剤名(一般名) デキサメタゾン (第1世代)オンダンセトロン、グラニセトロン、ラモセトロン(第2世代)パロノセトロン アプレピタント、ホスアプレピタント、ホスネツピタント ドンペリドン、メトクロプラミド クロルプロマジン オランザピン
作用機序 悪心・嘔吐の抑制効果がどのような作用機序によるものなのかは、詳細には解明されていない4) 5-HT3受容体は、悪心・嘔吐の発現に関与する重大な経路の一つである。 NK1受容体は、悪心・嘔吐の発現に関与する重大な経路の一つである。 抗ドパミン作用によって消化管運動を亢進する。 抗ドパミン作用によって消化管運動を亢進する。 セロトニン,ドパミン,ヒスタミン等の受容体拮抗作用により悪心・嘔吐を抑制する。
用途 単剤および併用で、高度~軽度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法として用いられるほか、放射線療法による悪心・嘔吐の抑制にも使用される。 単剤および併用で、高度~軽度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法として用いられるほか、放射線療法による悪心・嘔吐の抑制にも使用される。 高度および中等度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐療法に使用する。 軽度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐療法に使用するほか、メトクロプラミドは突出性悪心・嘔吐の抑制にも使用される。 軽度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐療法に使用する。 高度催吐性リスクの抗がん薬に対する制吐療法に使用する。
副作用4) 主な副作用 誘発感染症、感染症の増悪、うつ状態、多幸症 頭痛、便秘 頭痛、便秘、しゃっくり、注入部位疼痛、滴下投与部位痛 抗コリン作用(便秘、口喝)、ふらつき、眠気、体重増加、錐体外路症状、耐糖能・脂質代謝異常10) 傾眠、めまい
発現頻度は低いが重要な副作用 高血糖 ショック、アナフィラキシー、QT延長 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、アナフィラキシー メトクロプラミド:遅発性ジスキネジア、悪性症候群
投与経路 注射剤/錠剤 オンダンセトロン:注射剤/フィルム剤
グラニセトロン、ラモセトロン:注射剤/錠剤
パロノセトロンは注射剤のみ
アプレピタント:カプセル剤
ホスアプレピタント、ホスネツピタント:注射剤
ドンペリドン:錠剤/坐剤
メトクロプラミド:注射剤/錠剤・液剤
注射剤/錠剤 錠剤・顆粒剤

他に、予期性悪心・嘔吐の予防のために、抗不安薬であるロラゼパムやアルプラゾラム(悪心・嘔吐に対しては国内未承認※1, 2)が用いられることがあります。 ※1 ロラゼパムの国内承認内容11)
○神経症における不安・緊張・抑うつ
○心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ
※2 アルプラゾラムの国内承認内容12)
心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害

まとめ

がん薬物療法には、高い頻度で悪心・嘔吐が伴います。
悪心・嘔吐は、その辛い症状から患者さんのQOLを大きく低下させるため、治療の継続が困難となり、予後にまで影響が及ぶ可能性があります。
ですから、抗がん薬の催吐性リスクに応じた制吐薬を使用し、悪心・嘔吐をできるだけ予防または抑制して、患者さんが抗がん薬治療を完遂できるように、またできるだけ快適に過ごせるように支援することが重要です。

参考文献
  • 日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版, 金原出版, 2023年.
  • 日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2015年10月第2版, 金原出版, 2015年.
引用文献
  1. Shankar A, et al.: Asian Pac J Cancer Prev. 2015;16:6207-13.
  2. Von Hoff D, et al.: Cancer Treat. Rep. 1979;63:1527-31.
  3. 日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂第3版, 金原出版, 2023年.
  4. 日本癌治療学会:制吐薬適正使用ガイドライン 2015年10月第2版, 金原出版, 2015年.
  5. 浅野拓:レジデント 2010;3:110-1.
  6. 坂田育弘ほか:Geriatric Medlcine. 1999;37:1477-82.
  7. Marx W, et al.: Crit Rev Food Sci Nutr. 2017;57:141-6.
  8. 古賀亜希子ほか:YORi-SOU がんナーシング 2022;12:617-20.
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス:吐き気・嘔吐 もっと詳しく, 2018年10月4日
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/nausea/ld01.html(2023年11月閲覧)
  10. 尾鷲登志美:日本臨牀 2019;77:294-8.
  11. ワイパックス(R)錠0.5/1.0添付文書 2023年5月改訂(第2版)
  12. ソラナックス(R)0.4mg錠/0.8mg錠 添付文書 2023年10月改訂(第2版)